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建設業

経営業務の管理責任者について~1~【全体像および常勤性について】

2017.04.17更新

今回は経営業務の管理責任者について解説していきます!

以前の記事の中で建設業の許可を受けるための5つの要件(前回の記事参照。)を記載しました。その中でも特に重要なのが、この経営業務の管理責任者と呼ばれるものです。

とてもボリュームがあるので複数回に分けて解説します!まずは全体像からです。

一般建設業、特定建設業における経営業務の管理責任者とは?

申請者が法人である場合には、その役員(業務を執行する社員、取締役、執行役またはこれに準ずる者をいう。)のうち、常勤である者の一人が下記のいずれかに該当するものであること。
申請者が個人の場合には、常勤である個人事業主またはその支配人のうち一人が下記のいずれかに該当するもの。

  • イ 建設業の許可を受けようとする業種に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有するもの。
  • ロ イと同等以上の能力を有するものと認められた者
    • ① 建設業の許可を受けようとする建設業に関し経営業務の経営業務の管理責任者である地位に準ずる地位にあって、次のいずれかの経験を有するもの。
      • a. 経営業務の執行に関して、取締役会の決議を経て取締役会または代表取締役から具体的な権限委譲を受け、かつ、その権限に基づき、執行役員等として5年以上建設業の経営業務を総合的に管理した経験。
      • b. 6年以上経営業務を補佐した経験
    • ② 建設業の許可を受けようとする業種以外の事業に関し6年以上経営業務の管理責任者としての経験を有するもの。
    • ③ その他、国土交通大臣が個別の申請に基づき認めた者。

上記要件は時代のニーズを受け、平成29年6月施行の法改正により補佐経験の拡大、他業種の経験年数の短縮等の要件が緩和されました。

簡潔に言うと、上記要件に該当する常勤の役職者であって、かつ、上記要件に該当する経験(経営経験)があれば、経営業務の管理責任者になることができるということになります。

役職要件・経験要件

まず、「役員」とは株式会社や有限会社の場合の取締役、委員会設置会社の執行役、合同会社の業務執行社員、組合等であれば理事等にあたります。

そしてわかりにくいのが「業務を執行する社員、取締役、執行役またはこれに準ずる」という規定です。こちらは取締役から業務権限の委譲を受けている執行役員等や、建設業務を直接行う部署の部長等も該当します。その中で許可を受けようとする業種に関し、総合的な管理を一定年数経験した者ということになります。

実務上、部長の役職で経営経験を認めてもらうのはとても難しいです。このあたりを踏まえて、「準ずる地位」の詳細については、また後日触れてみようと思います。

常勤性

次に「常勤性」の要件です。「常勤」とは一般的に週40時間以上勤務、休日以外は毎日出勤 (営業所に常駐) している者とされます。それを証明する確認資料として、基本的には住民票と健康保険者証が必要となります。

① 住民票(本籍地の記載不要)

住民票に記載された住所にて、 経営業務の管理責任者となる人の住居が営業所に毎日通える距離にあるかどうかを確認します。

※遠隔地(通勤時間が片道2時間以上かかる)場合などは、住民票だけでなく、さらに通勤定期券、交通費の領収書、ETCの利用明細などの追加資料が必要となります。

また、住民票の住所と実際に住んでいる所が異なる場合(居所の場合)は、居所を証明するために、賃貸借契約書や水光熱費の明細書などを提出します。

② 健康保険被保険者証の写し

健康保険被保険者証(社会健康保険証や国民健康保険証、後期高齢者医療被保険者証)は、事業所名が記載されていなければなりません。

もし国民健康保険などで、事業所名が記載されていない場合は、事業所での勤務実態の証明のため、次のような追加資料が必要となります。

  • ア 健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書の写しまたは健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得確認及び標準報酬決定通知書の写し ※原本提示
  • イ 住民税特別徴収税額通知書(徴収義務者用)または住民税特別徴収切替申請書の写し ※原本提示
  • ウ 確定申告書 法人の場合は表紙(要受付印)と役員報酬明細の写し(報酬が年130万円以上ある場合 ※原本提示 個人の場合は第一表・二表の写し ※原本提示 さらにその他の書類が必要な場合があります。
  • エ その他常勤性が確認できるもの(例:源泉徴収の領収書とそれに対する源泉徴収簿、工事台帳や日報等毎日業務していることがわかるもの等)

※ 健康保険被保険者標準報酬決定通知書には当該役員の賃金の額が記載されています。最低賃金に抵触するような金額だと認められないので注意が必要です。

補足

補足ですが添付書類は自治体によりだいぶ異なります。例えば住民票については東京都では通勤圏内に居住しているかの確認等で必ず提出するという扱いになっていますが、大阪府では、外国籍の方以外は住民票の添付は必ずしも必要とはされていないようです。

通勤圏内の解釈も東京都と大阪で若干の違いがあり、東京では2時間程度、大阪では1時間30分程度とされるようですので確認が必要です。

出向しているケース

出向の役員であっても出向先(建設業許可を受ける会社)で常勤であることが認められれば、経営業務の管理責任者になれる可能性はあります。

  • ① 申請会社において取締役として登記されている必要がある。※登記されてないと不可となります。
  • ② 在籍出向の場合で、健康保険や厚生年金を出向元が肩代わりして支払っている場合は、保険証の事業所名が出向元になってしまっているので、常勤性の確認がとれません。この場合は、保険証のコピーの他に出向の協定書や契約書を準備しましょう(出向元の法務か総務部等にご相談ください。)。なお、東京都の場合は、出向契約に基づいて金銭がしっかり動いているかの確認も取られます(基本的には3ヵ月程度)。

上記書類で出向者の氏名などが確認できないときは、辞令や命令書など氏名の確認が取れるものも必要になってきたりもします。

また、通常は出向元が肩代わりしている健康保険、厚生年金について、出向先から出向元に支払いが生じるはずなので、その手続きをしたお金の流れがわかる通帳の写しなどの資料もあったほうがよいと思われます。

※「出向」とは、企業が社員との雇用契約を維持したまま、業務命令によって社員を子会社や関連会社に異動させ、就労させることです。出向の場合、対象となる社員の籍と給与の支払い義務は出向元企業にあり、社員に対する業務上の指揮命令権は出向先の企業が有します。人事異動の形態としては、企業間異動であるという点で、同一企業内での業務内容、勤務場所などの変更にとどまる配置転換や転勤と大きく異なります。

非常勤役員の経営経験について

原則として経営業務の管理責任者にはなれません。しかし、取締役会に毎回出席し、会社の業務執行についての意思決定に参加している事実等について十分な疎明をすることができるのであれば、「総合的に管理した経験」として判断されることもあります。なお2019年3月末日時点、東京都においては「非常勤取締役」の経営経験も期間算入できる取扱いになっています。

次回に続きます。