建設業者の決算変更届(決算報告)④ ~工事経歴書に記載すべき「工事の件数」
2017.12.11更新
この記事のポイントまとめ
この記事を読むと、決算変更届に添付する工事経歴書に記載すべき「工事の件数」がわかります。
- 1. 工事経歴書に記載すべき工事の件数は経営事項審査を申請するかどうかによって異なります。
- 2. 経営事項審査を申請しない場合は、主な完成工事10件程度(+主な未成工事)を記載しましょう。
- 3. 経営事項審査を申請する場合は、完成工事高の70%を超えるまで元請工事を記載しましょう。
工事経歴書とは?
工事経歴書(様式第二号)は、決算変更届で毎年作成する書類です。
決算変更届の他には、新規申請や更新申請、業種追加申請等でも添付書類となっています。
具体的に工事経歴書には、許可を受けている業種毎に、発注者、元請下請の別、工事名、現場の所在地、配置技術者、請負金額、施工期間などを記載します。
一見簡単に見えると思いますが、細かい留意点がたくさんあります。
例えば、発注者を記載するだけでも、発注者が法人である場合にはそのまま法人名(商号)を記載すればOKですが、発注者が個人である場合には、個人情報保護の観点からそのまま名前を記載してはいけません。
(発注者が個人である場合には、個人A、個人B…、個人1、個人2…などと記載します。)
このように細かい留意点がたくさんありますので、なるべく具体的な書き方を解説していきたいと思います。
工事経歴書にはどのくらいの工事件数を書けばよいか
さて、今回の記事の本題です。
工事経歴書には、対象期中に受注した工事の詳細を記載します。
ところで、工事経歴書には何件くらいの工事について記載すれば足りるかご存知でしょうか。
許可を受けている業種にもよりますが、内装仕上工事や電気通信工事などの許可を受けている業者は、年間何百件もの工事を受託していることがよくあります。
例えば、内装仕上工事の年間工事件数が500件あったとしましょう。
工事経歴書に500件もの工事を記載するとしたら、それだけで恐ろしい作業量になってしまいますね。。。
ご安心ください。
この点、記載すべき件数が決まっています。
記載すべき件数は、経営事項審査を申請するか申請しないかで変わってきます。
経営事項審査とは何なのかについては、また今度書いてみたいと思います。
経営事項審査を申請しない場合
経営事項審査を申請しない場合は、請負金額の大きい順に主な完成工事10件程度と、続けて請負金額の大きい順に主な未成工事を記載すればOKです。
経営事項審査を申請しない場合は、工事経歴書は1枚あたり13件の工事が記載できますので、だいたい1業種につき1枚の工事経歴書で足りるかと思います。
多くの会社は、こちらに該当すると思われます。
経営事項審査を申請する場合
経営事項審査を申請する場合は、件数ではなく、次のようなルールで記載します。
- ① 元請工事について、元請のみの完成工事高の70%を超えるまで請負金額の大きい順に記載します。
- ② まだ書いていない元請工事または下請工事について、完成工事高の総計の70%を超えるまで請負金額の大きい順に記載します。
- ③ 下請工事を記載する場合は、元請工事の下に記載します。
- ④ 70%に満たなくても軽微な工事は10件を超えて記載する必要はありません。
要するに、完成工事高の70%を超えるまで元請工事を記載して、元請工事を全て記載しても70%に満たない場合は、続けて下請工事を記載しましょう。
70%を超えるまでに軽微な工事を記載することになった場合は、続けて軽微な工事を10件記載すればOKです。
従って、10件未満で条件を満たす場合もあり得ますし、何十件か記載しなければ条件を満たさない場合も考えられます。
次回以降も引き続き工事経歴書の作成について書いていきたいと思います!