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建設業者の決算変更届(決算報告)⑥~配置技術者

2017.12.25更新

建設業者の決算変更届(決算報告)⑥

この記事のポイントまとめ

この記事を読むと、決算変更届に添付する工事経歴書を作成する際の「配置技術者」と「その他の細かい記載事項」について、次のような注意点がわかります。

1.  配置技術者は適切に配置しましょう

  • ① 原則、専任技術者は現場に出ることができません。
  • ② 多くの工事で、配置技術者は現場に専任しなければなりません。

2. その他の細かい記載事項の注意点

  • ① 経営事項審査を申請される場合の工事経歴書は「税抜」で作成しましょう。
  • ② 発注者、工事名の個人名は伏せましょう。
  • ③ 工期と配置技術者の整合性がとれているかチェックしましょう。

配置技術者は適切に配置しましょう

建設業者が建設工事を請け負った場合は、当該建設工事の現場に「配置技術者」を置く必要があります。

配置技術者とは、建設業者が施工する工事現場に配置される技術者のことです。
具体的に配置技術者は、「主任技術者」と「監理技術者」との2種類があります。

主任技術者とは?

主任技術者とは、建設業法26条に基づいて、請負金額の大小、元請か下請かに関わらず、必ず工事現場に配置しなければならならない技術者のことです。
専任技術者となる要件を満たす人が主任技術者となることができます。

監理技術者とは?

一方、監理技術者とは、発注者から直接建設工事を請け負い、かつ4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上を下請契約して工事を施工する特定建設業者が、主任技術者に代えて配置しなければならない技術者です。

監理技術者は特定建設業の専任技術者となることができる人で、有効な監理技術者証を持っている必要があります。

主任技術者や監理技術者は「直接的かつ恒常的な雇用関係」が必要

また、主任技術者や監理技術者は、工事を請け負った建設業者との間に「直接的かつ恒常的な雇用関係」が必要です。わかりやすく言うと、直接的な雇用とは、言葉の通り建設業者が技術者を直接雇用する必要があって、出向者や派遣社員などでは不可という意味です。

恒常的な雇用とは、継続的に雇用するという意味であって、仮に直接雇用されていても短期雇用(更新条項のない短期雇用契約等)では不可という意味です。

専任技術者は、原則として営業所に常駐。現場に出ることが認められていない

工事経歴書の作成の話に戻しますと、工事経歴書には、配置技術者の氏名(フルネーム)と主任技術者・監理技術者の別をレ点でチェックするようになっています。

この時、専任技術者となっている人が配置技術者となっていると、行政庁から指導を受けることがあります。
専任技術者は、原則として営業所に常駐しなければならず、現場に出ることが認められていないからです。

ただし、次の要件を全て満たせば、例外的に専任技術者でも現場に出ることが認められる場合があります。

  • ① 専任技術者が属する営業所で請負契約が締結された建設現場であること
  • ② 工事現場と営業所とが近接していること
  • ③ 営業所との間で常時連絡をとりうる体制があること

しかし、具体的にどのくらいの距離まで「近接」していると言えるかについては各行政庁によって判断が異なるので、事前に確認されるほうが良いでしょう。

また、いわゆる「現場専任」にも気を付けなければなりません。
次の条件の両方に該当すると、配置技術者を担当の現場に専任させなければなりません。

  • ① 公共性のある施設もしくは工作物または多数の者が利用する施設もしくは工作物に関する重要な建設工事であること。
  • ② 工事一件の請負金額が3,500万円(建築一式工事の場合は、7,000万円)以上であること。

おそらく、個人住宅等を除いて3,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上の工事はほぼ該当すると思われます。

該当しない工事の場合には、同時期に複数の現場を担当しても差し支えありません。

その他細かい記載事項の注意点

工事経歴書の作成にあたっては、次のようなところにも注意しなければなりません。

1. 経営事項審査を申請される場合、工事経歴書は「税抜」で作成しましょう

税務申告のために作成される財務諸表は、「税込」で作成されている場合があります。

経営事項審査を申請されない場合は、そのままの数字で決算変更届用の財務諸表を作成し、工事経歴書も「税込」で作成すればOKですが、経営事項審査を申請される場合は、財務諸表も工事経歴書も「税抜」で作成しなければなりません。

2. 発注者欄、工事名欄の個人名は伏せましょう

以前の記事でも軽く書きましたが、工事経歴書中、発注者と工事名のところは、個人名を伏せるようにしましょう。

例えば、発注者部分は個人名そのままではなく「個人A」と記載したり、工事名部分も個人名は出さずに「個人A邸 ◯◯工事」と記載すればOKです。

3. 工期と配置技術者の整合性がとれているかチェックしましょう

上記で説明している通り、配置技術者は基本的に現場に専任しなければならないことが多いと思われます。

工事経歴書には、請け負った工事の「工期」を記載します。
「平成29年○○月〜平成29年△△月」という感じで記載するのですが、当該工事の配置技術者も記載しますので、複数の工事で工期が重なっているにもかかわらず、同じ配置技術者が担当していると、管轄行政庁から指導が入ります。

この点、パズルみたいに事実とは異なる配置技術者を都合の良いように記載することはやめましょう。
虚偽記載になるからです!後で発覚する方が、リスクが跳ね上がります。

もしも現場専任が守れていなかったり、専任技術者が遠方の現場に出てしまっていたりなどの事実が判明したときは、正直に認めて指導を受けた方が、将来的なリスクは低くなると考えます。

実際、配置技術者のルールについて詳しくない担当者の方も多いと思います。
ご不安な場合は、管轄行政庁や行政書士にご相談ください。