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建設業

経営業務の管理責任者について~3~【役職要件・経験要件】

2017.04.22更新

今回も引き続き経営業務の管理責任者の要件について解説していきます!

前回の記事「経営業務の管理責任者について~2~【役職要件・経験要件】」の続きです。

まずは許可要件のおさらいです。

経営業務の管理責任者となるためには、次の要件のいずれかを満たす必要があります。

    • イ 建設業の許可を受けようとする業種に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有するもの。
    • ロ  イと同等以上の能力を有するものと認められた者。
    • ① 建設業の許可を受けようとする建設業に関し経営業務の経営業務の管理責任者である地位に準ずる地位にあって、次のいずれかの経験を有するもの。
      • a. 経営業務の執行に関して、取締役会の決議を経て取締役会または代表取締役から具体的な権限委譲を受け、かつ、その権限に基づき、執行役員等として5年以上建設業の経営業務を総合的に管理した経験。
      • b. 6年以上経営業務を補佐した経験。
    • ②建設業の許可を受けようとする業種以外の事業に関し6年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者。
    • ③ その他、国土交通大臣が個別の申請に基づき認めた者。

今回は、いわゆる「ロ(ろ)該当」と呼ばれる要件について解説します。

ロ-①aについて

  • a. 経営業務の執行に関して、取締役会の決議を経て取締役会または代表取締役から具体的な権限委譲を受け、かつ、その権限に基づき、執行役員等として5年以上建設業の経営業務を総合的に管理した経験。

執行役員とは?

企業で実際に業務を執行する役員のこと。業務執行とそれを監督する取締役を分けることで、監督機能の強化と意思決定の迅速化を図るために存在します。会社法上の制度ではないのです。

委員会設置会社における「執行役」とは別の役職ですので、ご注意ください。

貴社の執行役員は経営業務の管理責任者に該当するか?

執行役員経験で経営業務の管理責任者となるためには、建設業に関する事業部門全般の業務執行に係る権限委譲を受けている必要があります。

このため、許可を受けようとする建設業に関する事業の一部のみ分掌する事業部門(一部の営業分野のみを分掌する場合や資金・資材調達のみを分掌する場合等)の業務執行に係る権限委譲を受けた執行役員等は、経営業務管理責任者として認められません。

「経営業務の管理責任者としての経験」は、業務を執行する社員、取締役、執行役もしくは法人格のある各種の組合等の理事等、個人の事業主又は支配人その他支店長、営業所長等営業取引上対外的に責任を有する地位にあって、経営業務の執行等、建設業の経営業務について総合的に管理した経験をいい、当該執行役員等による経営経験は直接的に「経営業務の管理責任者としての経験」には含まれず、経営業務の管理責任者である地位に「準ずる地位の経験」という考え方になります。

執行役員等が「準ずる地位」に該当するか否かの判断に当たっては、以下の書類により個別に判断されます。

  • 執行役員等の地位が業務を執行する社員、取締役又は執行役に次ぐ職制上の地位にあることを確認するための書類(組織図その他これに準ずる書類)
  • 業務執行を行う特定の事業部門が許可を受けようとする建設業に関する事業部門であることを確認するための書類(業務分掌規程その他これに準ずる書類)
  • 取締役会の決議により特定の事業部門に関して業務執行権限の委譲を受ける者として選任され、かつ、取締役会の決議により決められた業務執行の方針に従って、特定の事業部門に関して、代表取締役の指揮及び命令のもとに、具体的な業務執行に専念する者であることを確認するための書類(定款、執行役員規程、執行役員職務分掌規程、取締役会規則、取締役就業規程、取締役会の議事録その他これらに準ずる書類)

そして平成29年6月施行の法改正により、『「組合理事や支店長、営業所長、支配人に次ぐ職制上の地位にある者」に次ぐ地位にある者」』の経験も補佐経験として認めてもらえることになりました。つまり許可を受けようとする業種に関し、総合的な管理を一定年数経験した者であれば、副支店長や営業所の次長も対象となります。建設業界においては朗報ですね。

ただし、これを証明する資料が難しく、副支店長や営業所次長等は登記の内容ではないので謄本では証明できません。行政庁に対して個別の相談が必要です。 また補佐経験と経営経験を合算して6年以上の経験者が対象となるので補佐経験+経営経験を持つ経営業務の管理責任者も増える可能性があります。

ロ-①bについて

「6年以上経営業務を補佐した経験」についてですが、許可を受けようとする建設業に関する建設工事の施工に必要とされる資金の調達、技術者及び技能者の配置、下請業者との契約の締結等の経営業務すべてにわたって従事したと認められる経験をいいます。

また許可を受けようとする業種の経営業務を補佐した経験と許可を受けようとする業種またはそれ以外の建設業における経営業務の管理責任者としての経験があわせて6年以上あってもよいとのことです。

②について

②建設業の許可を受けようとする業種以外の事業に関し6年以上経営業務の管理責任者としての経験を有するもの。

建設業29業種のうちのどれでもよいので、その経営者としての経験が6年以上あれば、建設業29業種すべてにおいて経営業務の管理責任者となることができます!

例えば、

「建築一式工事」の許可がほしい!
→とび・土工工事業の事業主・支配人・取締役などの経験が6年以上あればOKです。

「6年以上の経験」は単一業種ではなくてOK

許可を受けようとする建設業以外の建設業に関する経験(6年以上の経営業務の管理責任者としての経験)は、単一の業種区分における経験のみを要するものではなく、複数の業種区分にわたって認められます。もちろん許可を受けようとする建設業とそれ以外の建設業に関して通算6年以上でも対象となります。

③について

  • ③ その他、国土交通大臣が個別の申請に基づき認めた者。

客観的には経営業務の管理責任者となる要件は満たしていても、管轄行政庁が求める確認書類が提出できないケースがあります。例えば、外国人が日本企業の経営業務の管理責任者になりたい場合で、当該外国人の経営経験が海外での経験だった場合などが考えられます。このようなケースでも大臣が認定すれば経営業務の管理責任者として認められることになります。

補足:令3条の使用人について

ちなみに「従たる営業所」に設置が義務付けられている「令3条使用人」にちついてですが、正確には「建設業法施行令第3条に規定する使用人」といいます。建設工事の請負契約の締結及びその履行に当たって、一定の権限を有すると判断される者で、支店及び支店に準ずる営業所の代表者、すなわち「支店長」「営業所長」のことです。個人事業でも支配人登記された支配人が該当します。

次のとおり建設業法第7条第1号イの「経営業務の管理責任者としての経験を有する者」の一つとして認められており、経験期間が5年ないし6年あれば、建設業許可を取る上で経営業務の管理責任者としての要件として認められ、取締役等他の経験と合算して必要年数を満たすことも可能です。

建設業法では、建設業法上の建設業者(許可を受けて建設業を営む者)が従たる営業所である支店や営業所に責任者を置くことを予定しており、それを「令3条の使用人」として取り扱っていますので、建設業許可業者でない建設業者の支店長、営業所長等は該当しません。

令3条の使用人とは、大臣許可を受けた大手建設業者の支店長、知事許可業者でも本店以外の営業所等の長のケースがほとんどですが、役職名を問わず、管轄行政庁へ令3条の使用人としての届出がされていれば該当します。経営業務の管理責任者の要件でお悩みの方は、前職で「令3条使用人」の経験がないか確認してみるとよいと思います。